アイミ日記

ミシン修理レポート2 シンガー リル・デラックス 1050DX スタートボタン点滅

今回の修理は、シンガーさんのリル デラックス1050DXです。
症状は「スタートボタンが緑、赤にチカチカと点滅する」「縫っていると途中で勝手に止まる」というものです。

実際に試縫いしてみると、本来は緑のはずのスタートボタンが赤になったり、緑になったりしています。
それでも最初は問題なく縫い進めましたが、やがて途中でピッと電子音が鳴り止まってしまいました。
このような不具合挙動は、大体が下糸巻きスイッチや、ボタンホール のセンサーの異常が原因の場合が多いのですが、とりあえず一番可能性の高い、押え上げレバースイッチの交換部品の端子をメイン基板に挿してみたところ、ボタンのチカチカがおさまりました。
今回はこのスイッチが原因のようです。

このとても小さなスイッチは、押え上げレバーが上がっているのか?下がっているのか?を検知しています。
本来、押え金が上がっている状態でミシンを動かすことがないように、安全装置として付いているのですが、これが故障すると、押え金が下がっていて縫える状態なのに、ミシンが「上がっている」と勘違いして動作を止めてしまうのです。
ミシンの故障では、このような安全装置の不具合が原因になることが少なくありません。
本来、安全に、そして便利に使えるようにと付いているものが、かえって縫うことを邪魔してしまうなんてちょっと皮肉です。
実際、一番丈夫で故障が少ないのは、昔の足踏みの直線ミシンですし、、、。

通常、原因さえわかれば仕事の半分は終わったような物なのですが、ここからがなかなか厄介です。
まず、押え上げレバーの所までドライバーが届くように分解していくのですが、かなり奥にあります。
しかも押え棒などに邪魔されて周りが狭苦しく、けっして作業しやすい状況ではありません。

ここまで分解すれば、不良部品を外すのは簡単なのですが、替りの交換部品を取り付けるのが、、、。
位置を合わせるのに少々コツがいるのと、部品自体が非常にもろく、下手な位置でネジを締めてしまうと破損してしまいます。
ピンセットなどでスイッチを動かしながら慎重にネジを締めるのですが、配線のコシに邪魔されたりして位置が決まらず、そのうちネジがぽろっと落ちてしまったり、、、正直、イライラしてしまいます。
ああ、自分が小人か何かのように小さくなれて、ミシンの中に入って作業できたらどんなに楽だろう、、、と、馬鹿なことを考えたくもなります(笑)。
、、、深呼吸、深呼吸。

なんとかスイッチの取り付けを完了して動かしてみると、レバーの上下に対して正しくスタートボタンの色が変わるのが確認できました。
長めに動かしても、途中で止まることもありません。
他の不具合では、右側の液晶パネル下のボタン群に多少の接点不良があったのですが、部品交換だと修理代金がかなりかさむので、修理・洗浄で処理しました。
また、針とお釜に多少のタイミングずれがあったので、これも修正し、各部の細かな調整を行って終了です。
試縫いもきれいに縫えました。

このブログでは、ミシンを使う上でのちょっとしたヒントや、ミシン修理レポート、お知らせ、雑記などを不定期で載せております。
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ご覧いただき、ありがとうございました。

<ご注意> 
この記事は、「ミシンの修理をおすすめするもの」ではありません。
経験のない方がミシンを分解するのは、非常にリスクが伴います。
軽はずみな分解をおこなったために、その後、修理不能となるケースがありますので、ご注意ください。