アイミ日記

ミシンのヒント4 てんびんの位置 〜釜糸がらみ、針穴糸抜けを防ぐため

縫製中、上下に動き続ける「てんびん」は、ミシンに絶対に欠かすことのできない部品です。
その役目は、お釜に送り込んだ上糸を絡まないように引き上げ、同時に、糸締まりを作り出すことです。

普段、みなさんは、このてんびんの位置を気にしてミシンをお使いでしょうか?
おそらく、あまり気にしてらっしゃらないのでは?と思います。

実は、縫い終わりの、このてんびんの位置(高さ)が非常に重要になります。

特に、上の写真のような、停止したときの針の高さが一定でない足踏みミシン、電動ミシン、または停止時に針が生地に刺さった状態で止まるミシンは。

まず、縫い終わりは、はずみ車を必ず手前に回し、てんびんを一番上に上げてください。

生地から針が抜けたからといって、すぐ生地を引き出そうとしないでくださいね。
必ず、てんびんを一番上にしてください。

てんびんの位置が一番上に上がっていると、針を通して送り込まれた上糸が、お釜にから完全に抜けている状態になります。

この状態にすることで、どんなメリットがあるかというと、、、

1、 お釜に糸が絡むことなく、すんなりと生地が外せます。
よく縫い終わりに思うように糸が引き出せず、ガチャガチャとはずみ車を前後に回している方がいらっしゃいますが、これは絶対にやめてください。お釜に糸が絡まることがあります。

また基本的に、はずみ車の逆回しは御法度です。

2、 次に縫い始めるときに、針穴から糸が抜けにくくなります。
縫い始めに、針穴から糸がスルッと抜けてしまい「あれ??」となったことはありませんか?
これは、針穴から糸が抜けるだけではなく、その抜けた糸がミシン内部に絡みつき動きが悪くなり、分解修理が必要になることもよくあります。

縫い終わりに、てんびんが一番上にあれば、次は下へ降りるだけなので、ある程度上糸の長さがあれば、てんびんが針穴から糸を引き抜くことがありません。

加えて、まず生地に針を刺してから、上下糸を押え金で踏みつけて縫えば、鳥の巣も防ぎきれいに縫い出せます。

電子ミシンの多くの機種は、縫い終わりに、てんびんが一番上になる針上停止になります(例外もあります)。
コンピューターミシンも針上停止か、もしくは針下停止になります。
(下停止の場合も針上下ボタンや、自動糸切りボタンを押せば、てんびんは一番上で止まります。)
てんびんが外から見えない機種も、ボタンを押して針が上がっていれば、てんびんは一番上になっています。

つまり、コンピューターと電子ミシンは停止時のてんびんの位置が一定で、(ヘタにはずみ車を回さず)ミシンのアシストに任せた方がトラブルは少ないのです。

もちろんこの場合も、縫い始めの生地への針刺しは、おこなった方がいいと思います。

ちなみに、上糸を掛ける際も、このてんびんの位置は一番上にしなければなりません。
針穴糸通し器はこの位置でしか使えませんし、てんびんが隠れているタイプのミシンの場合は、確実にてんびんに糸を掛けるために必要になります。

ブラザーさんのミシンの多くは、上の写真のように、はずみ車に合印があります。
この合印が一番上に来ていれば、てんびんの位置は一番上に来ていますという目印です(ブラザーさんは親切ですね〜)。
※ JUKIさんの一部の機種にもあります。

今回のお話は、ご存知の方にとっては「なーんだ、そんなこと知ってるよ」ということですが、これをクセつけておくと、つまらないトラブルを確実に回避できますので、ご存知なかった方はぜひ気にしてみてください。

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